越美線未成線の旅④(米原→近江塩津→敦賀→越前花堂/97.3㎞)

米原駅に来た特急しらさぎ北陸新幹線敦賀延伸後は運転が短縮される
車窓左手に琵琶湖と余呉湖を望む

 米原北陸本線に乗り換え。10時5分定刻通りの発車であったが、近江塩津行なのに利用客は多く、ほぼ満席だった。仕方ないので田村までは補助席に座っていた。田村~長浜は北陸本線で唯一琵琶湖を望める区間だが、民家も増え以前より見えなくなった。長浜を過ぎると客もかなり減った。そのまま平野部を走るが木之本を過ぎたあたりで山が迫り、余呉を過ぎると余呉湖が左手に見える。こちらは田んぼしかないから視界は広がる。

湖西線の高架が近づき近江塩津

 列車は次の近江塩津止まりで、ここでも20分以上の待ちになる。平成18年(2006)北陸本線長浜~敦賀間が交流から直流に切り替わったため、北陸本線経由で敦賀へ向かう場合、当駅での乗り換えが増えた。近江塩津に初めて下車したのは昭和59年(1984)頃だったか、その頃にはすでに無人化されていた。湖西線の永原~近江塩津間に交流と直流のデッドセクションがあったため、全線電化にもかかわらず当時は普通列車気動車が充当されていた。交直両用の電車に切り替わるのは平成3年(1991)9月の米原~長浜間が直流に切り替わった際である。

近江塩津駅

 その後、「海道・あぢかまの宿」となり簡易委託化されてスタンプも設置された。『お食事処 給食屋さん』という食堂もあったが、残念ながら平成29年(2017)いっぱいで閉店になっていた。営業している時にも訪問したことがあったので利用しなかったことが後悔しきりである。

 近江塩津湖西線経由の敦賀行を待っていたら、同じ時刻に違うホームに列車が来たので、ホームを間違えたと一瞬焦ったが違った。結局、近江塩津は4分遅れで発車する。近江塩津を過ぎると福井県に入り新疋田。ここも無人駅だが、JR化後当初は運転関係の職員が常駐しスタンプを押した思い出もある。そのまま旧鳩原信号場を過ぎ、舞鶴若狭自動車道の高架橋を過ぎて敦賀へ。ここでさらなる先の福井行に乗り換えとなる。

敦賀駅

 敦賀でも乗り継ぎに20分はあるので途中下車。令和6年(2024)3月の北陸新幹線敦賀延伸PRが盛んで駅舎も改築工事が進んでいる。昔の敦賀を知る筆者にとっては少々寂しさを感じる。幸い駅弁や駅そばも健在なので、改札外の『気比そば』で肉玉そば470円をすする。肉の味がきいていて出汁もおいしく汁まで飲み干す。考えてみれば6時台から食糧にありついていないのでちょうどよい昼食となった。

入口の狭い『気比そば』と肉玉そば

 そばを食べてホームに戻り、11時37分発の福井行に乗る。北陸新幹線敦賀延伸に伴い、北陸本線は金沢~敦賀間130.7㎞が第三セクターに移管することが決まっており、石川県内はIRいしかわ鉄道、福井県内はハピラインふくいにそれぞれ移管される。かつては米原直江津間353.9㎞で北陸三県の県都を結んだ幹線も平成27年(2015)3月の北陸新幹線長野~金沢間開業に伴い、並行在来線えちごトキめき鉄道、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道にそれぞれ移管されたため、半分の176.6㎞となってしまい、北陸新幹線敦賀延伸後は米原敦賀45.9㎞だけとなり、かつての大幹線が88%もなくなってしまう。その反面、名古屋や京都・大阪からは直通列車がなくなり、乗換えを要することから不便を強いられる。残りの敦賀~新大阪間の開業は未定で、おそらく存命中に開業することないと思う。新幹線至上主義の弊害であろう。

今庄駅と越前花堂駅

 今回はJRとして北陸本線敦賀越前花堂間を乗るのも結局最後になるであろう。北陸トンネルの入口左側に慰霊碑がみえた。今庄や南条などの簡易委託駅もかつて駅スタンプ押印のために下車したことがあるが。その後令和4年(2022)3月に無人化された。

 特急停車駅の武生・鯖江などを過ぎ、12時25分に越美北線の起点・越前花堂駅に着いた。越美北線はすべての列車が福井始発なので、席を確保するなら福井まで行きたいところだが、それだと越前花堂~福井間が別料金になってしまうので、ここで下車してまた30分近く待たねばならない。
 この駅も昭和59年(1984)に無人化されており、有人駅時代に訪れたことがなかった。幸い先月15日にドラえもんとクルマで訪問していたので撮影は済ませていたが、それ以前の平成28年(2016)3月にも途中下車したことがあった。この間に北陸新幹線の高架橋が完成しており変貌ぶりに驚かされた。

福井鉄道福武線花堂駅

 駅周辺は市街地であるものの自動車関係の会社が多く、商店街などは見当たらない。ただ福井鉄道の花堂駅があって徒歩5~6分で連絡しており、こちらには飲食店なども点在している。今後、北陸新幹線敦賀延伸以降は、第三セクターとJR線で別料金が合算されるので、この花堂が乗り換え駅として注目を集めることになるかもしれない(つづく)