最初の難関というのは美濃太田での乗り換えである。6分あれば乗り遅れることはまずないのだが、今回はICカードや「青春18」ではなく、乗車券を購入せねばならないのだ。もし窓口に先客がいたり、操作に不慣れな職員だと、スムーズに乗車券が買えなくなってしまう。
「九頭竜湖まで越前花堂経由で」と云うと、「米原経由ですか? 特急の利用は?」とは聞かれたが、あっさりと発券でき、余裕で高山本線の列車に間に合った。もっとも7時46分の列車に乗れなくても、1本あとの8時3分発でも岐阜で乗り継いで大垣で追いつけたのだが……。
高山本線の列車はキハ75形のクロスシートでラッキーだった。通勤時間帯を考えると座れないこともあったが、今回は余裕で座れた。岐阜までの区間は通勤需要が大きいのだが、並行する名鉄とのサービス競争もあってクロスシートが多いと聞いたことがある。むしろ美濃太田以北の高山本線にクロスシートを投入してほしいのだが、そちらは特急に乗って欲しいのであろう。同じことを飯田線でやったら乗り鉄ファンも遠のくことは確実だが……。
とはいえ坂祝から鵜沼にかけては日本ラインの景勝がみられる区間で、かつての国道21号も令和元年(2018)に坂祝バイパスが開通すると、県道207号に降格したので車の通行量は少ない。すでに日本ライン下りも運休して久しいが、道沿いにある廃墟も放置状態が痛々しい。車窓はすばらしいのにもはや打ち捨てられてしまった印象だ。
帰省の折には名鉄に乗り換えるために利用する鵜沼を過ぎ、左側に対岸の犬山城、平野に孤立する伊木山が見えてくる。台地を登った各務ヶ原で列車交換があった。次の蘇原でも特急との列車交換があり4分停車するのだが、ここで特急が来ないため5分遅れた。岐阜では5分の接続になっており、再び乗り継ぎの危機になるが、正規の時間から1本後の列車でも大垣からの米原行きに接続しているのでそんなに心配することもなかった。結局、5分遅れでも東海道本線は向かいのホームで階段の昇降はなく計画通りの列車に乗れた。
西岐阜を過ぎたところで先に長良川鉄道で並行した長良川橋りょう(462m)を渡る。梅山以来、1時間30分以来の再会になるが、平野部のため川幅はかなり広くなっている。東海道本線の列車内でも西日本管内の遅れの放送があり、調整のため穂積で5分停車した。大垣で25分あるからこの程度の遅れは心配することなく、大垣には6分遅れで到着している。
大垣では少し時間があったので美濃赤坂方面の列車や樽見鉄道を撮影した。米原への列車は4両編成しかなく、ふだんの「青春18」の旅では毎回混雑し座れない区間であるが、すでに「青春18」のシーズンは終了しており、コロナ禍で乗車率も通常より低いようで楽々座れた。関ヶ原から県境へ向かうと山が深くなる。
滋賀県に入ると天の川が並行。米原到着前に神戸線内で人と列車接触の旨、遅れの報告あって米原始発に変更なるとの放送があった。本来は姫路始発で近江塩津まで4時間も運転されるロングランなのだか、こういう分割運転の配慮はありがたい。米原では少し時間があったので、近江鉄道の駅へ行き、買いそびれていた硬券入場券を求めた。ここから先はJR西日本の管轄である(つづく)。