越美線未成線の旅②(郡上八幡→美濃太田/46.9km)

 9月13日(月)朝、自転車で郡上八幡駅へ向かう。フリーきっぷで出かけるとき、いつも利用する上り始発だ。フリーきっぷは2700円也。当日でも関駅の4分停車中に購入でき、今回のプランでは帰りも最終1本前なので、梅山まで乗って折り返すこともできるのだが、今回は目的が違うので正規運賃1380円+880円の計2260円での乗車とする。

朝の郡上八幡

 秋で日増しに陽は短くなっているのだが、6時台でもまだ明るい。朝からトイレ掃除の業者の方がトイレ掃除をしていた。駅勤務時から顔なじみの方である。そういえば久々に駅へ来たのだが、駅入口の車寄せ部分にあった郡上おどりの提灯がなくなっている。上りホームだけ提灯が残っていたが、向かいの下りホームの提灯も撤去されていた。台風接近ではずしたのか、それともコロナ禍で2年続けて郡上おどりが中止のためはずしたのか? それでも上りホームだけ残っているのはかえって不自然だ。もし、暴風雨で破損したというのなら早く再設置してほしい(のちに設置されました)。

 郡上八幡6時21分発の上り始発が美濃白鳥方面からやって来た。車両は残念ながらハズレのオールロングシートの観光列車に改造された「川風号」である。長良川鉄道の車両(当時)は、セミクロスシートの300形7両(1両はオールロングシート)、オールロングシートの500形3両が在籍。単純にいえばセミクロス:ロングの比率は6:4だが、2両は観光列車「ながら」専用車のため、定期列車では4:4の半々で、運次第にもなるが、セミクロスを「アタリ」、ロングシートを「ハズレ」と呼んでいる。初のセミクロス車両だった200形が令和2年(2019)で運用離脱。新しく登場する車両600形はオールロングと聞いているので、ロング比率が高くなる。

 運用と車両不足の問題もあるので仕方ない面もあろうが、これ以上ロングシート車両は増やさないでほしい。美濃太田北濃2時間乗り通す客は少ないかもしれないが、さすがにロングシートでの長時間は辛い。それに遠方から高額な旅費を出して来た旅人もロングシートではがっかりさせられるし、リピート率すら低下させる要因となる。国鉄から第三セクターに移管された際、車両をすべてレールバスのオールロングのナガラ1形に変わったときはショックで、筆者は長良川鉄道から数年遠ざかっていた。全車両をオールロングシートにしてしまえば客離れを引き起こすであろう。

第六長良川橋りょう(左)と第二長良川橋りょうを渡る

 僕以外にも郡上八幡からの乗客は2名いて車内は5名。ここから美濃太田に向かって長良川に並行して梅山まで下っていく。この間にトンネルも11箇所抜ける。しかし、肝心の絶景もロングシートでは見辛く魅力も半減。次の相生への途中で第六長良川橋りょう(126m)を渡った。朝から釣り人の姿が見られる。このあと相生~深戸間で第五長良川橋りょう(114m)、赤池駅をはさんで第四長良川橋りょう(124m)と第三長良川橋りょう(149m)を渡る。そういえば赤池駅至近の場所に1日1組のみ宿泊できる民宿『やいち』があるのだが、郡上に住んでいるのと同行する賛同者がいないため、未だ取材が実現できていない。

八坂で乗客3名になり、美濃市駅でようやく列車交換

 赤池を過ぎてみなみ子宝温泉までは進行方向右手が長良川となる。除雪と保線用のディーゼル機関車が停まっていた大矢で1人降り、みなみ子宝温泉を過ぎて線内最長の第二長良川橋りょう(164m)を渡ると、あとは八坂から湯の洞温泉口の手前まで長良川は進行方向左手となる。八坂で1人降りたので車内の乗客はわずか3名になった。湯の洞温泉口の手前で上りだと最後になる第一長良川橋りょう(142m)を渡り、この先は梅山まで並行する。湯の洞温泉口駅で女学生3名が乗ってきた。部活があるのか、この時間から早くも学生の利用がある。美濃市で最初の列車交換があり、この先は降りる客より乗る客のほうが多くなり、関・富加でも列車交換が行われた。

関駅で4分停車
整理券で運賃精算、郡上八幡から1380円

 満席というほどでもないが、美濃太田到着時には25名に増えていた。7時40分に美濃太田に到着すると、そそくさと写真を撮ってJR線への乗り換えになるが、最初の難関が待ち構えていた(つづく)

美濃太田駅