越美線未成線の旅①

 福井から美濃太田まで越前と美濃を結ぶはずだった越美線。南北から建設工事を始め、南は美濃太田から北濃まで、北は福井から九頭竜湖まで開通。しかし、北濃九頭竜湖間の約24㎞が未成区間として残った。国鉄末期の昭和54年(1979)にこの未成区間が調査線から工事線に昇格し、過疎化著しい沿線では大いに盛り上がり、悲願の全通が期待されたが、翌年の国鉄再建法公布に伴い工事は凍結。未成のままで終わった。

 国鉄再建法では越美南線、越美北線とも特定地方交通線の第二次廃止対象路線に選定されたが、南線は第三セクター長良川鉄道に移管され、北線は除外規定3の「代替輸送道路が積雪で年10日間以上通行不可能」で廃止を免れてJR西日本に引き継がれた。もし、国鉄時代に全通していればJRとして維持され、特急などの優等列車も設定され、石徹白を境界駅としてJR東海JR西日本で運営されたことであろう。

 それでも両線の存続が決定したことで、ひょっとしたら全通もの期待を抱かせもしたが、いかんせん沿線人口も少なく難工事が予測されたので実現には至らず、南北全通の夢は絶たれた。

 なお、越美南線と越美北線は美濃白鳥~九頭竜湖駅前まで、油坂峠経由のJRバスが連絡していたが、不採算を理由に季節運行になり、平成14年(2002)9月で廃止されてしまった。現在、この区間を走るバス路線は存在しないが、北濃から石徹白の上在所は白鳥交通バス石徹白線が、九頭竜湖から家族旅行村は大野市営バス前坂線が運行されており、石徹白線の下在所から家族旅行村まで、バスのない約8kmを歩いて、南北全線を乗り通すツアーがコアなレイルファンの間で話題になっており、いくつか走破記などがブログで紹介されている。郡上市という沿線に住みながらなかなか実現できずにいたので、いつかはチャレンジしてみたいと思っていた。

 最初は越前大野で一泊し、九頭竜湖駅前~家族旅行村~下在所~北濃という行程で考えていたのだが、朝の越前大野九頭竜湖行がコロナ禍で減便の対象になってしまった。そうなると九頭竜湖で宿泊せねばならない。ところが調べているとなんと起点の郡上八幡から福井(越前花堂)経由で1日で戻って来れることが判明した。これはすぐにでも実現したかったのだが、コロナ禍もあって今夏の「青春18」購入を見送る羽目になり、第一回目の予防接種が済んだ令和3年(2021)9月13日に実行することにした。

越美南線・越美北線未成線の旅ルート

一部変更したがプランは下記の通り。

郡上八幡621→740美濃太田746→828岐阜833→845大垣910→945米原1005→1037近江塩津1101→1115敦賀1137→1225越前花堂1254→1422九頭竜湖1520→(大野市営バス前坂線)→1535家族旅行村…(徒歩8.1㎞)…下在所1819→(白鳥交通バス石徹白線)→1825上在所1830→(白鳥交通バス石徹白線)→1905北濃1921→2012郡上八幡

 

運賃(※上在所迂回しない場合)

郡上八幡美濃太田長良川鉄道)1380円

美濃太田九頭竜湖(JR)4070円

九頭竜湖駅~家族旅行村(大野市営バス)100円

下在所~北濃駅(白鳥交通バス)310円

北濃郡上八幡長良川鉄道)880円

計6740円

 

 未成区間を乗り継ぐだけなら郡上八幡から岐阜までは岐阜バス高速八幡線を利用したほうが運賃は安くすむのだが、今回の目的は越美線全線を乗り通すことである。それに季節限定の「青春18」利用なら1回分は2410円なので、本来は岐阜バス経由より安い5080円になることも付記しておきたい(つづく)