荒尾競馬の廃止が決定

昨日のニュースですが、8月25日に書いた記事の続編として、
とうとう荒尾競馬の廃止が正式に決定しまったようです。
8月26日に売上げに協力しましたが、しょせんは焼け石に水だったようで……。
ますは本日の毎日新聞の記事を掲載します。


荒尾競馬:廃止表明 「寂しい」「出走馬減る」関係者から懸念や惜しむ声/熊本】
 ◇市長「税金投入難しい」
 荒尾競馬の厳しい経営状況を理由に5日、廃止を表明した荒尾市の前畑淳治市長。
市議会後に荒尾競馬組合で調教師や騎手ら約140人に廃止の決断を報告したが、
関係者からは「寂しい」といった声や今後のレースで出走馬が少なくなるとの
懸念の声が出た。【近藤聡司】
 市議会で廃止方針を聞いた厩務(きゅうむ)員の渡辺賢一さん(47)は「寂しい。
荒尾競馬で過ごした27年間のことが思い出される。先のことは考えられない」と力なく話した。
 現在の厩務員は63人。競馬場敷地内の宿舎に住み、敷地内の厩舎で馬の世話をする。
厩務員会長を務める渡辺さんは、廃止方針を関係者に伝えに来た前畑市長に
「もう続けられないのか」と訴えた。前畑市長が「これ以上、競馬事業に税金を投入する
ことは市民の理解を得られない」と答えると、歯を食いしばるしかなかった。
 一方、別の関係者からは「廃止方針が出た以上、12月までレースをするにしても
出走馬が減るのは明らか。厩舎に馬が入らなければもう経営はできない」との意見も出た。
補償を求める声に市は「皆さんとの間に雇用契約はなく、補償という考えはない。
これまでの協力に感謝し、見舞金を支払いたい」と繰り返した。
 競馬では調教師が馬主から1頭いくらの契約で収入を得て、雇用している厩務員や騎手に賃金を支払う。
荒尾競馬で生計を立てる関係者は獣医や売店従業員、予想業者らを含め約180人に上る。
市は再就職のアンケートをして「希望に応じられるよう努力する」としている。
 関係者への報告後、組合管理者としての経営責任を報道陣に問われた前畑市長は
「経営改善を重ねてきた。昨年、馬主に支払う出走手当を削減し、馬が集まらないことで
関係者から『もうやっていけない』という話を聞いた。
そういう状態では続ける意義がないと感じた」と説明した。
 ◇判断尊重したい
 蒲島郁夫知事は、前畑市長の廃止表明について「熟慮の上の判断と聞いており尊重したい。
今働いている人の雇用の問題など相談したいことがいくつかあるというので、
県として真剣に協議に応じていきたい」と述べた。清算費用の県負担は「基本的に市の問題で、
経済的なことは考えていない」と明確に否定した毎日新聞 2011年9月6日 地方版)


8月25日に方針を決めるとか云っておいて、10日足らずでの廃止決定ですか。
なんか全然猶予策はなかったようで、速やかに廃止したい意向のようですね。
廃止が決定しまうと惜別の駆け込みが殺到しそうで、
せめて僕が行く前に普段の競馬場の姿を見ておきたかった気がします。
荒尾のほうも経営努力につとめてきたんでしょうが、
岩手や笠松、高知などのようにもっと深刻な事態に陥っている競馬場が
土俵際で頑張っているというのにあっさり廃止表明では競馬ファン
バカにしているといっても過言ではありません。
しかも競馬関係者にも補償という概念はなく、見舞金という金での解決策です。
もうひとつビックリしたのは荒尾の馬不足です。
関係者180人に対し在厩馬が約270頭ですから。
最初に廃止された中津競馬でも2000年度は653頭いたと記録されています。
近年は冬季に岩手競馬と協力しながら出走頭数も確保しましたが、
それでも賞金カット→馬主の減少→馬の減少と負のスパイラルに陥っていったようです。
どのみち競走馬の大半は繁殖を除けば悲しい末路をたどるものが多いのですから、
こういった馬たちを活かす意味でも存続すべきだったし、
まだまだ改善の方策はいくらでもあったのにと思うと残念でなりません。
在籍する馬の大半も延命できず、哀れな末路をたどることになりそうです。
このあと佐賀や福山にも影響が出そうですが、
僕が追跡しているコーナーで、荒尾在籍中の元中央オープン馬を掲げておきます。


パリスドール(牝4・佐伯茂樹厩舎)中央11戦2勝(09年ひまわり賞
コウセイカズコ(牝7・畑田修治厩舎)中央8戦2勝(06年ひまわり賞


ともに九州産限定2歳オープンを勝った牝馬で早熟だったのかもしれませんが、
荒尾へと活路を見出しました。コウセイカズコはデータ上では2010年2月を最後に出走はなく、
退厩扱いになっているため、すでに引退しているかもしれません。
パリスドールは父がサイレントハンターという渋い血統で、
2歳GIの阪神JFにも出走。障害も走り、本年に入って荒尾へ移籍しました。
せめて中央で実績を残した馬だけでも繁殖などの道を導いてほしいものです。


さらに古いニュースから泣ける記事を見つけました。


荒尾競馬組合、寄付金額を発表】
 荒尾競馬組合は28日、東日本大震災への寄付金額を次の通り発表した。
4日間(17、18、26、27日)にわたり、各日の5Rを「東日本大震災復興支援競走」として
実施した収益金額が505万7064円。26、27日に南関東騎手らと行ったチャリティーサイン会や
レースゼッケン抽選会で25万2155円、熊本県調騎会、厩務員会、婦人会から44万7655円が集まった。
なお、同競馬場では引き続き募金箱を設置して支援を続けていく(2011.3.29 05:00サンスポ)。


衝撃の事実です。廃止表明される半年前には自分たちの台所事情が苦しいことも承知で、
被災地へ義援金を送っていたのです。JRAに比べれば少ない額かもしれませんが、
本来なら募金してほしい荒尾競馬が我が身を削ってまで義援金を拠出していたことを考えれば、
こんな善良な競馬関係者を見殺しにしてしまうなんて信じられない暴挙ではありませんか。


とにかく一度、荒尾競馬場へ行きたいと思います。


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