ひとつの時代の終焉

年初めから仕事に追われ続けてあっという間に1月が過ぎようとしています。
本日もまた某取引先の社員から退職の挨拶をもらい、
出版界の消長の早さをしみじみ感じるものですが(半分以上はすでに使えない名刺)、
今回はちょっとショッキングな出来事が起こりました。
僕がちょうど独立したての頃に大変お世話になった某編集会社が、
2月10日をもって閉鎖するとのメールをいただいたのです。
この会社の社長は本当にすごい方で、ろくな勤務形態・福利厚生のなかった
編集プロダクションをしっかり会社制度化し、長年後継者の育成につとめておりました。
僕が初めて営業に行った際にもいきなり怒鳴られましたが、
本音で話し合うことができ、いろいろと仕事のきっかけを与えてくれた人でした。
現在の僕の会社があるのも、この人のおかげだと言っても過言ではありません。
編集および本の製作に熱意をもち、仕事中は緊張感が張り詰めていますが、
終わったあとは打ち上げで飲んで楽しく、公私のけじめをしっかりつけた方でした。
まだ、バブルの頃は会社(というより学校か)出身で、
現在は出版界の一線級で活躍されている方たちが集まって、
新年会・花見・納涼・忘年会などと年に数度楽しんだものです。
そういえば社長と社員および出身の方たちと香港へ旅行したこともありました。
晩年はよい人材もおらず、規模も縮小し苦戦の様子がうかがえたのですが、
書籍中心の編集でよくあそこまで維持できたと思います。
『悪魔の書』と呼ばれる年度版の『マスコミ就職読本』
そこには当社を含む編集プロダクションの一覧が載っており、
僕も昔は営業のため片っ端から電話をかけたこともありましたが、
いったいこの会社には何人の若者が夢を求めて問い合わせ、
何人の社員が巣立っていったのでしょうか?
本の製作に情熱をもって取り組める編集人が減ってしまったため
高い編集技術をもった社長の引退は本当に残念でなりません。
すでに僕の諸先輩筋にあたる編プロ会社も次々と閉鎖しています。
編集プロダクションで人を育てるという時代も使命を終えたように感じます。
28年間本当にご苦労さまでした。


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