上越線は新幹線開通後、すっかり寂れてしまったが、
利根川の上流沿いを走り、景色はなかなかのものだ。
ただし、本日は窓に小雨の水滴がつき、霧も出ているので視界はよくない。
天気予報では新潟地方は曇とのことであったが、
国境の清水峠を過ぎると天気は変わるのであろうか。
1時間ほどで水上に着き、さらに長岡行に乗り継ぐことになる。
とくに水上〜越後中里間は1日5往復しかない閑散区間。
夏のシーズンこそは臨時で1往復増発するが、
通しで乗る人が多いため、混雑は避けられない。
水上行は4両あったが、長岡行は2両しかなく、
下手すると長岡までの約2時間、立ったままになりかねない。
雨で水上到着は少々遅れているため、
SLのラリースタンプを押すのを諦め、水上駅到着後、
猛ダッシュでボックスシートを確保した。
こんなとき駅弁を手に持っていたらネックになりかねないが、
駅弁は撮影後リュックの中へ……。
湯檜曽からトンネルに入り、モグラ駅の土合を過ぎてトンネルを抜けると、
国境を越えて越後国(新潟県)に入る。
川端康成の『雪国』「国境の長いトンネルを抜けると……」の件で知られる土樽の駅。
この区間は夏より冬場に乗ることをおすすめしたい。
越後に入ったところで一面銀世界になるケースが多いからだ。
ただし定刻運転は期待できないかもしれない。
越後中里を過ぎると魚野川に沿って耕地は開け、意外にもトンネルは少なくなる。
景色を見る間もなく眠りに入ってしまった。
小出の駅で目が覚めたが、再び眠りに入り、長岡へと運ばれる。
長岡までは目的地へ向かうための線の旅。ここまでは何度か乗っている。
ここから先が未踏の地になる。長岡ではバスの乗り継ぎ時間が短いため、
ダッシュで西口バス停へと向かった。
西口のターミナルは乗り場がたくさんあり、
与板方面へは複数の乗り場から出ている。
見知らぬ土地で迷うなら聞いてみたほうが得策。
越後交通バス案内所で聞いてみると、一番早い与板行きは11番乗り場と判明。
事前に調べた情報では10時20分発だったが、10時30分発に変更されていた。
レンタサイクルのある中心地の与板仲町へは410円。
30分ほどのバス旅となる。与板へは1時間1本以上の間隔で出ているが、
乗客は数えるほどしかいない。
バスは市街で何度か信号待ちでアイドリングストップをかけた。
市街を出ると一面田んぼが広がり、信号もなくなるが道は2車線もないほど細い。
途中で上り長岡行きとすれ違ったが、向こうは結構な乗車率であった。
しかし、バス前面の窓には雨脚がつき、少々不安にさせていた。
やがて集落のある場所に入り、与板の町に入る。
現在は長岡市に編入されているが、2005年までは与板町であった。
かつては越後交通長岡線が走っていた町だが、
昭和50年に廃止されてもはや30年以上の時が経つ。
人口7000人余りの旧与板町は与板城の城下町の名残をとどめるが、
商店街はほとんどがやっておらず、土休日ともなるとこうも寂しいものかと、
地方都市の現状を垣間見る思いがした。
事前に調べておいた無料レンタサイクルを取り扱う商店もやっていない。
まさか観光の書き入れ時に利用できないとは思ってもいなかったが、
やはりマイカー中心の世の中だから、バスで訪れる人は少ないのだろう。
それにしても平日なら余計観光客も少ないと思うのだが。
この誤算のため機動力が奪われ、滞在4時間のうちに全部撮影せねばならなくなった。
つづく