悔やまれる岩泉線

本日はいろいろなところでつぶやかれていますが、
JR岩泉線がついに運行再開を断念し、廃止に踏み切る模様です。


【JR岩泉線、再開断念の方向 30日にも正式発表】

岩泉町大川で2010年7月に発生した脱線事故で全線運休が続くJR岩泉線
(茂市(もいち)―岩泉間、38・4キロ)について、JR東日本が運行再開を断念する
意向を固めたことが28日、同社関係者への取材で分かった。
運行再開への費用が約130億円に上ることや、乗客が年々減少していることが理由とみられる。
30日にも正式発表する見通しだが、早期再開を求めている地元自治体の反発は必至だ。
 JR側は28日までに岩泉町、宮古市などを訪問。安全対策を講じた上での全面復旧経費が
巨額に上ることや、利用者の減少傾向などを示し、運行再開が厳しいとの認識を示唆していた。
 同社関係者は28日、岩手日報社の取材に対し「費用面や利用状況を見ると再開は難しい」などと述べた。
 岩泉線再開の可否をめぐっては、専門家による地質調査で、全線で事故現場と同様の
大規模崩落の恐れのある斜面が23カ所、大きな落石の可能性がある斜面は88カ所ある―と指摘された。


 岩泉線脱線事故 2010年7月31日午前7時35分ごろ、JR岩泉線の茂市発岩泉行きの
下り列車(1両編成)が岩泉町大川の押角(おしかど)―岩手大川間の落石シェルター出口付近で
土砂に乗り上げ脱線。乗員乗客5人が軽傷を負った。(岩手日報2012/03/29)


なんか鉄道の廃止って死刑宣告(by宮脇俊三センセ)みたいで
すごく厭なんですが、宣告されてしまうとどうしても葬式鉄したくなってしまう性質でして……。
でも本来の葬式鉄というのは廃止(死刑)が確定する前にひそかに乗り、
そのローカル線の実状をつぶさに観察しておくのが最適なのです。
なので正式発表はなくても乗っておかねばならない赤字線は山ほどあるのですが……。
岩泉線に至っては2010年7月の災害以来不通になっているわけですから、
2005年9月の災害で不通になり、2008年12月に全線廃止になった高千穂鉄道のように、
葬式鉄もできぬまま廃線に至ってしまうケースとなります。
そういう意味では2008年8月13日に乗った名松線はラッキーだったといえましょう。
名松線は1年後の2009年10月8日の災害で家城〜伊勢奥津間が不通になってしまったわけですから。
名松線はその後も2010年8月1日代行バスで伊勢奥津を再訪しています。
ところが岩泉線になると、不通後の2010年8月29日岩泉駅を訪れていますが、
それ以前に乗ったのは学生時代の90年11月になってしまいますから。
もちろん当時はデジカメもなく、貧乏なのでネガフィルムでしたが。
同じく高千穂鉄道も89年の第三セクター後に乗ったきりでした。
山田線のほうは2003年に取材で乗ったことがあるので、
このときついでに岩泉線に乗っておけばと後悔しきりです。
日本の鉄道は車窓のよいところほど災害にあいやすく、
他の赤字線でも災害で復旧のメドが立っていない線や、
災害に怯えながら細々と走らせている鉄道もあるわけです。
これがまだ第三セクターなら公的支援も受けられるのですが、
経常黒字のJRでは支援はほどんど受けられません。
運行再開費用約130億かけたところで、輸送密度最低の路線ですから。
地元自治体の反発も強そうですが、正式な発表は明日。
これが他のローカル線に波及しなければよいのですが……。


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