『坂の上の雲』第10回「旅順総攻撃」

『江』が終わり、NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』第3部が始まりました。
この放映に合わせ、カテゴリーの坂の上の雲の部分だけ
先に整理しましたので、過去の批評が読みたい方はカテゴリーをクリックしてご覧ください。
しかし、やはりこれを3年がかりで90分の13回に分けてやるぐらいだったら、
半年の45分26回にして連続してやってもらったほうが、
視聴率ももっと取れたのではないでしょうか。
平均視聴率も第1部が17.5%、第2部が13.5%と落ちていく一方で、
もっとも激しい戦闘シーンが観られる第3部はどうなってしまうんでしょう。
大河ドラマと違ってきっちり役者なども作りこんでいるだけに勿体ないです。
本来ならこちらを大河ドラマの50作目にもってきたほうがよかったのではないでしょうか。
ストーリーは西田敏行演じる高橋是清が日本の公債を買ってもらおうと、
英国に出かけもなかなか買ってもらえないところから始まります。
一方、先の旅順閉塞作戦に失敗し、有馬良橘(加藤雅也)が艦隊を去り、
陸軍の大山巌米倉斉加年)と児玉源太郎高橋英樹)を迎えて、
作戦会議を練りますが、そこで真之が二百三高地の奪取を進言。
大山が乃木稀典(柄本明)の第三軍に命じます。
ここから昔観た映画やテレビドラマ『二百三高地』の世界に入っていくわけで、
記憶している人ならあのさだまさしの『防人の詩』が脳内に流れてしまうのです。
しかし、第一回の旅順総攻撃は銃弾の前に壊滅。
もう機関銃の前に屍を築くだけの悲惨な状態で、戦線は膠着します。
この事態にバルチック艦隊が来て旅順艦隊と合流したら日本はおしまいと
真之が旅順へ向かおうとしますが、島村速雄(舘ひろし)にぶっ飛ばされます。
一方、遼陽会戦では好古が騎兵を率いて奮戦し、クロパトキンを撤退させます。
このクロパトキンも史実の人物にクリソツで笑えました。
しかし、旅順方面は戦局悪化の一途をたどり、乃木更迭の話も出ますが、
大山らはこれを阻止し、天皇からも激励の書簡が届きます。
ここで乃木はずしを工作した長岡外史(的場浩二)が登場しますが、
あの強烈なひげまでリアルに再現されており、クオリティ高いです。
そして品川台場にあった28サンチ砲を送ることを申し出ますが、
原作で酷評されている参謀の伊地知幸介(村田雄浩)が「いらない」と拒否。
しかし、結局は無理に送ってこれが勝敗のカギとなるわけです。
そして三度目の総攻撃も苦戦したところで休戦命令が出ます。
落胆する兵士たちを乃木がねぎらいます。
取材から戻ってきたあと、90分番組を観るのは結構根気がいり、
前の時もそうでしたが途中、意識朦朧となりました。
しかし、やはり90分ドラマ6回分で日露戦争を描くのはきついかなと。
ある程度局地戦は端折らざるを得ないことは分かりますが、
話の展開が早すぎるのと、今回は主人公の好古・真之の登場が少なくなってしまい、
乃木と大山・児玉の人物描写に時間を割かれてしまった感は否めません。
この短ストーリーでの展開では戦争の全貌もなかなかつかみづらいのではないでしょうか?
果たして第三部初回の視聴率はいかに? 次回でコメントしたいと思いますが、
来週は秋田取材と重なっており、ビデオ録画失敗のリスクが高いのが心配です。


ということで本年も最初だけ一昨年に当社で制作した本を紹介しておきます。

坂の上の雲』歴史紀行(JTBパブリッシング) B5判 1260円
2009年11月発行。2009〜2011年NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』。
全13回3年にわたって放映される秋山好古・真之兄弟と正岡子規の3人の主人公を描いた本。
第1章故郷松山での足跡/第2章志高き東京での日々/
第3章日清戦争と主人公たち/第4章日露戦争と主人公たちの4部構成で、
巻末の付録にはスペシャルインタビューや人物事典・史跡ガイド・逸話選などを収録。
当社では第1章を主筆。 購入はコチラ


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