馬の年金削減で多くの名馬が危機に……

昨日はつぶやきでもつぶやいてしまいましたが、
元ネタはこちらの「”引退馬の年金”が大幅減額 支給年齢も引き上げ」で知りました。
JRAでは来年より「引退名馬けい養展示事業」の助成金対象馬の支給額を
月3万円から月2万円に引き下げると同時に、
支給開始年齢も14歳からに引き上げるそうです。
JRAでもようやく来年から賞金のカットを実施するようですが、
なぜ、その削減の一環として競馬を盛り上げてくれた功労馬にしわ寄せが行き、
虐げられることになってしまうのか理解不能です。


元々この制度は1973年に八大競走の優勝馬に引退名馬けい養制度として発足しましたが、
有馬記念カネミノブはじめ行方知らずになる馬のほうが圧倒的に多かったのです。
そこで1996年、JRAの関連団体である軽種馬育成調教センター(BTC)が、
「引退名馬けい養展示事業」を制定して中央の重賞ウイナーで繁殖、
乗馬いずれの用途にも供されない功労馬に対し、
一般ファンへの公開義務を前提に月3万の助成金を交付することにしました。
これにより繁殖で成功しなかった馬や、地方に流れた馬たちも一部は救われることになりました。
そして2007年には重賞が地方交流まで拡大されています。
それでも、この制度の恩恵に預かって余生を過ごせる重賞ウイナーは
ほんのひと握りに過ぎません
何せ、この制度自体や申請手続きを知らない所有者も多く、
また手続きも公式ページを見ればお分かりのように、
来年度の申請締切は平成23年11月18日(金)午後5時必着となっています。
つまりごく一定期間内に申請しなければ助成金は得られないわけです。
2011年度現在の助成対象馬はこちらをご覧ください。
対象馬は全部で242頭になっていますが、すでに2011年10月までに
レッツゴーターキンキョウトシチー、アラシなど19頭が亡くなっています。
こうして天寿をまっとうできたり、死亡を確認できた馬たちは幸せだったことでしょう。
では、仮に対象馬を250頭と換算して、この助成額は1年でどのくらいになるのでしょうか?

250頭×助成金額3万円×12カ月=9000万円

なんと1億円にも満たないのです。
で、今回の制度変更でどれだけ節約できるというのでしょうか?

すでに19頭が亡くなっているから、223頭です。
それで対象となる平成10年以前に生まれた14歳以上の馬となると、
それ以下で対象外(1999年以降)となってしまう馬は何頭いるか調べてみました。
対象外でもゴールデンキャスト・シルクブラボー・バンブーユベントスが亡くなっていますので、
全部で45頭になります。そこには02年の皐月賞ノーリーズン
02年菊花賞、03年天皇賞宝塚記念を勝ったヒシミラクルまで含まれてしまうのです。
両馬とも受給資格まであと1年待たねばならないのですが、
八大競走を勝っているのですから、間違っても行先不明なんてことは止めてもらいたいものです。
ですから223頭から45頭を引いた178頭が月1万の減額、45頭が支給対象外ですね。
これで178頭×12万+45頭×36万=たった3646万円の軽減にしかなりません。


むろん、今後用途変更で申請してくる馬もいましょうが、
月2万の助成では預託料も赤字になってしまうということで、
鹿児島県のNPOホーストラストでは功労馬スポンサーを募ったほどです。
しかし、助成対象馬が増え過ぎる要因にはJRAが売り上げを増やそうと、
無理にGIや重賞を乱立した背景もありましょう。
それなら訳の分からない重賞はオープン特別に格下げして、
グレードをはずして整理すればいいだけのことです。
それよりもっと簡単なのは天下りで高額な給料をもらうJRA職員の
給与・賞与カットすればすむことではありませんか。
本年度で助成を受けて余生を過ごしている223頭の生存馬で、
いったい何頭の名馬たちが経済的事情から救われなくなってしまうのでしょうか。
そんなつまらないことをしても、ファンはますます離れていくだけなのに……。


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