虚しくなるよな本づくり

本日は同業者村野鎮守さんのジレンマエッセイを紹介します。


出版不況も手伝って本の制作期間が短くなってゆく昨今。
3月は年度別決算もあってスケジュールもきつくなる一方。
本は見栄や販売地域を広げたいばかりに全国エリアをつくろうとし、
予算もなければ時間もない。口は出すけど金出さない。
ある意味仕方ないかもしれない。時代の流れかもしれない。
KYずに昔の価値観だけで吠える老体のほうがマシかもしれない。まともじゃないが。


時間許すなら取材に行きたかった。でも確実に足が出る。
足ばかり出してもいられない。家なき子にとって東京は住むだけでも大変なの。
ネットカフェ難民、始発電車難民などにはもうなれない。もうそんな体力・若さもない。
どう考えても出す時期、出すタイミングがずれすぎている。
第一、春夏の写真をどうやって冬に撮影しろというの?
冬に行ったって雪景色や冬枯ればかりでビジュアルに耐えられない。
カメラマン使いたくても使えない。そんなお金出やしない。
税金は払っているから国や市町村を有効活用するしかない。


県や市の観光課や観光協会、便利になった。
ポジなって貸そうものなら失くされてしまうリスクがあるが、
デジタルならそんな心配もいらない。
ある地域の写真、電話したらあっさり貸してくれた。
前はもっとマゴマゴしていたものだが、その日中に全部来た。
取材すれば確実に10日以上はかかっただろう。
便利になったものと感心した。と同時に虚しさを覚えた。
アリバイ工作員、写真があれば免罪符になってしまう。


行ったところもないところ、行ったふりして記事を書く。
こんなこと平然と許されるようになってしまった出版界。
本はDVDやCDのオマケで売ろうとし、流用またはパクリだらけ。
中身を見ればウィキぺディアからの引用ばかり。
生きてゆくためとはいえ、こんなことに手や時間を貸す自分が恨めしい。
嗚呼、せっかく「青春18」で安く取材できるというのに、
慌し過ぎて身動きできないもどかしさ。


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