『天地人』最終回「愛を掲げよ」

はい、『天地人』も、とうとう最終回ですね。なんだかんだで最後まで観てしまいましたが、
ちょうど11月23日に訃報があったもんですから、それから1週間は日記の更新もできず、
記憶も薄れがちだったので11月29日の再放送まで観てから書きます。
いえ、別に再放送を観るような内容でもなかったんですがね。
でも、まさか最終回が73分も放送するとは思っていなかったので、
引き続きの『JIN』の前半を見そびれてしまいました。
では、本題。いきなり息子の景明を失くしてしまう兼続夫妻。
夫妻の悲劇は子どもにすべて先立たれてしまったことでしょう。
続いて家康も臨終。「秀忠に愛や義を伝授せよ」とか、
「わしが果たせなかった父の役目、お前が果たしてやってくれ」とか
改心してしまった家康が拍子抜け。
前回からそうでしたが、これまでの悪党ぶりが台無しです。
家康が亡くなったあとお船が玉丸(定勝)の世話をしたいと云い出しますが、
これって本当は生まれた直後から養育していたはず。
しかし、本来は対立するはずの政宗と兼続がえらく仲良いですな。
政宗ファンへのウケでも狙ったんでしょうか。
そんなところへ若い侍衆たちが駆けつけ、兼続に講義を頼み、
思い出話で信長・秀吉・家康のことを語ります。
で、関ヶ原随一の名将に三成の名を挙げます。
お前のいう「義」というのは三成が亡くなってから褒め称えることだけかよ。
そんなの誰にだってできるよ。
結論として兼続の「義」というのはご都合主ということだったんでしょう。
元和4年(1618)、米沢に禅林文庫を創設したところ、
なぜか歳をとらない妖怪オババの初音登場(出るな〜)
三成の遺志を継いで南蛮船に乗るとか。ああそうですか。勝手に出掛けてちょうだいな。
もう一人の利休の娘は完全スルーされてしまいましたね。
で、隠居して江戸へ行き、お船とともに越後へ行き、景明の位牌を山の上で掲げます。
でもって直江の家は我らでおしまいと領地を返上します。
しかし、お迎えがきてもおかしくないのにこのドラマはヤケに引っ張る。
そのあと主君・景勝との別れで春日山にあった岩屋に似ている場所へ招き、
反則のミニ兼続を登場させます。景明の子役のときはもうこども店長だったもんな。
で、元和5年(1619)、兼続とお船はモミジをみて、
お船がモミジをとってきたところで兼続はあの世にお迎えがきて完でした。
兼続が亡くなったのは12月19日(新暦1月23日)でもう紅葉も散っているはずですが、
ドラマということで許してあげましょう。

史跡紀行では山形県米沢市の法音寺の上杉家廟所、林泉寺の兼続の墓、
禅林文庫のあった法泉寺などが紹介されました。
3カ所とも取材で訪れた場所で、とくに上杉家廟所は2008年1月14日、
雪中を訪れたのが印象深いです。あのときはJR米坂線西米沢駅で下車して、
米沢まで10キロ以上、歩いて撮影しましたからね。
米沢にはその年の10月にも訪れていますが、
結局、放映が始まってしまうと、次の大河ドラマ本制作にとりかかるため、
いつも『天地人博』などの博覧会は見そびれてしまうんです。
もちろん、次の『龍馬伝』なんか高知・長崎ですから余計にムリ。
すでに龍馬関係の本も制作終了しましたから、もう再来年の
江〜姫たちの戦国〜』の準備に取り掛からねばならないのです。
最後は雪の中の上杉家廟所と法音寺のスタンプで締めくくりたいと思います。

あとがきにかえて
旅じゃBLOGからスタートした『天地人』ですが、
ブログの休止に伴い、第39回からは当ブログに移行。
途中から観る気力も萎えてしまいましたが無事完走にこぎつけました。
最終回は22.7%、平均視聴率21.2%、『篤姫』の最終回28.7%、平均視聴率24.5%には
およばなかったものの、『功名が辻』を上回る数値で意外な検討といえましょう。
僕的にはあの『風林火山』よりかはマシといったところです。
何かと批判の多いドラマでしたが、必ずしもそれが一般視聴者の意見ではないことを、
如実に物語っています。まぁ、最近はブームもあってかなり知識の浅い層まで、
歴史に入り込んでいますからね。
前半はよかったのですが、結局、ミニ与六のこども店長が受けると、
しつこいように回想で使ったり、ミニ竹松にも採用したり。
子どもというのは成長が早いですからミニ与六→こども店長→ミニ竹松と経るうちに
もうキャラが変わってしまっていることを気づいていない。
あと、前田慶次最上義光などの登場を期待した視聴者には落胆させたことでしょう。
せっかく人気の真田幸村もあの扱いではトホホです。
結論としては「愛の兜」を脚本家が仁愛・博愛ととらえすぎて、
しかも「義」を全面に押し出すあまり、義が飽和状態になり、
最後は最初の考えと矛盾したものになってしまいました。
これをご都合主というなら、この番組もで通したことになりますが。
『酒と漫画と歴史と腐女子』さんのまとめの言葉を借りるとすれば、
ミニ与六「わしはこんなドラマみとうなかった」ということになりますかね。


では最後にしつこく営業して締めくくります。そういえば最終回終了後、
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上越・与板・会津若松・米沢の紹介、さらに資料編では上杉氏の版図変遷・
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