先日の15日に芥川賞作家・柳美里さんが月刊誌『創(つくる)』の
原稿料未払いをブログで告発して話題になっています。
柳美里さんとは直接の面識はないですが、ちょうど世代的に近く、この窮状は身につまされる思いです。
関連記事によれば柳美里さんは月刊『創』のコラムを2007年8月から連載し、
当時は「400字3枚で5万円」という破格の提示を受け
2007〜2008年は定期的に入金があったものの、2009年以降は入金が途絶えがちになり、
2011年以降はほとんど支払われていないとか。
400字原稿で当時の2万円の単価は破格です。
でも、そんな破格の単価も支払わなければ「絵に描いた餅」でしかありません。
大体、普通の歴史系の雑誌ではなんとか4000円が維持されていますが、
これは作家の知名度にもかかわらず、ほとんど一律の条件です。
実際、400字4000円なら大変ありがたいことで、もはやそんな相場すら崩れてデフレ状態です。
別のニュースではこの7年間の未払金は原稿656.4枚の単価を1枚2万で試算すると
1136万8078円未払いとなっており、幅をもたした最低値174万6200円と試算しています。
最低値で換算すると4000〜5000円ぐらいになりましょうか。
なんとも悲しいもので、しかも水道代すら支払われなくなっており、
宝飾品や切手などを金券ショップに売りに行ったと書かれています。
にしても芥川賞作家なら印税で左うちわの悠々自適な生活がと思っていたのですが、
現実はそうはいかないのですね。それほどまでに活字離れが進行しているということでしょうか?
もちろん、そこまで相手を増長させてしまった
柳美里さんにも問題がないわけではありませんが、
天下の版元が支払調書を出さないとか、請求書を起こさせないとかは
超零細の当社と比しても呆れてものが言えなくなります。
実は当社も直接この版元とは取引がなかったのですが、
別称『悪魔の書』とも呼ばれる『マスコミ就職読本』(冒頭写真)には
2003〜2012年度版まで毎年お世話になっていました。
なぜ『悪魔の書』と呼んだのかというと、
マスコミ・出版に変な幻想を抱く若者(夢子)が飛びつくバイブルだったからです。
そういう僕自身も駆け出しの記者をやっていた頃は
大変参考にさせていただいたことは否定しません。
実際にこの『悪魔の書』を読んで学生から問い合わせや資料請求もありましたし、
会社訪問もあって何人か面接したこともあります。しかし、それは昔の話です。
実際にこの年度版の『悪魔の書』も掲載時は2冊購入して売上にも貢献していたものですが
2011年の強制立ち退きもあって自然と連絡が途絶えてしまい、もはや掲載されていません。
もうすでにこの『悪魔の書』も2005年ぐらいを境に効力が薄れていった気がします。
編集サイドの怠慢もありますが、もはや本自体が情報源として風化していったこともあり、
当社もそのあおりを喰らうようになりました。
と同時に柳美里さんの告発はある意味、旧態依然の版元に活を入れたのかもしれません。
「昔の剣、今の菜刀」
数年前にも書きましたが一部の出版社には、未だに古い体質が残っており、
パソコンや携帯もロクに使えないくせに、自分の固定観念が絶対という、
頭が硬度10の耄碌じじいが幅を利かしています。
痴呆を装った未払いや、グロスという名の殺人的な低報酬をはじめ、
会社経費の私物化・横領は当たり前田のクラッカー。
たしかに原稿単価1枚2万は現状にそぐわないかもしれません。
それでも柳美里さんは1枚1000〜1500円で依頼を受けたこともあり、
その意味では単価ではなく、仕事内容を選んだ崇高な作家さんなのです。
またインタビューでは「編集長からきちんとした説明があれば、
1枚2000円でも連載を継続していたかもしれません」とも語っています。
しかし、残念なことに、どんだけ過去に立派な業績を挙げた編集長でも
「キリンも老いては駑馬に劣る」「昔千里も今一里」
で、当社も未払が回収できていない版元があります。
僕が告発したところで効力がありませんが
芥川賞作家の柳美里さんが告発したことに反響があったのです。
「金の切れ目が縁の切れ目」
柳美里さんほどの作家ならそれが分かっていたとは思いますが、
まともにお金の計算ができないような編集長、
さらに一番重要な金銭のことを後回しとし、誠意ある態度を取らない菜刀&駑馬に
ここまで付き合ってしまったことにも悲劇があったのです。
残念ながら現在の流通システムや編集体制を根本的に改善していかないと
いつまで経っても内容のないコスト高の本乱発が止まず、
編集者のクオリティも落ちて誤植だらけとなってしまい
紙媒体の出版界に未来はありません。
本日の木之前葵ちゃん。
2Rハナビサンバ8着シンガリ(7番人気)
4Rスキャットソング6着(8番人気)
5Rグァバベリーニ3着(7番人気)複勝450円アタリ
7Rベルグラス5着(3番人気)
10Rラブステラー中止(10番人気)
さすがに本日は7R以外は勝負にならないかなと思ったりもしたのですが
5Rでは見事ハナ差交わしての3着で複勝厚目をGET!
これでかろうじてプラス収支としました。
それにしても10Rは競走中止だったとは……終始1頭遅れてレース映像では確認できなかったのですが
葵ちゃんとラブステラーの安否が気遣われます。