悲しき世界遺産

日光の世界遺産について原稿を書いているうちに、
神仏分離による2社1寺になってから帰属をめぐって
東照宮輪王寺が係争を繰り返しているという悲しき事実を目の当たりにした。
代表的なのが鳴龍だ。東照宮では大地堂、輪王寺は薬師堂と
それぞれ堂名をもっているが帰属については未だに決着がついていない。
日光山の大半は輪王寺に帰属していたが
世界遺産登録にともない日光山内に線引きがされ、
輪王寺に至っては15の塔頭の15カ寺が分断されてしまったという。
それでもややこしいのは未だに山内鳥瞰図をみると
輪王寺の所属になっているし、観光協会に問い合わせても
「直接聞いてくれ」とすぐにキャッチボールをしてしまう。
さらにまどろこしいのは料金体系だ。2社1寺共通拝観券に含まれるのは
輪王寺三仏堂・大猷院・東照宮陽明門・二荒山神社拝殿となっているが
東照宮の奥宮(眠り猫)は別料金になるし(東照宮の拝観券は奥宮まで含む)、
二荒山神社拝殿は元々無料で入れるエリアで
神苑が別料金になるのであればなぜ? 共通拝観券をうたう意味がない。
いずれにせよ東照宮輪王寺の客の奪い合いから、
こういった複雑・煩雑な料金システムができてしまったのだ。
すべて拝観できる共通券があれば観光客にとってありがたいものはない。
しかも宝物館はどこも別料金になっており、
すべてを見学するなら莫大な費用がかかってしまう。
まあ、僕としては取材でやたらと莫大な奉納金を要求された
平泉の中尊寺東照宮などは好感がもてない。
もちろん保全費用は大変だろうが、あそこまでいくと単なる成金趣味である。


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