愛馬との涙の別れ(夢)

珍しい夢を見た。僕が引退した愛馬を救おうと奔走する夢だった。
その愛馬が命名馬のサザンジェネラルであったか、
かつて一口で持っていたローレルファイターであったかどうか分からない。
夢の中の馬は鹿毛であったが、馬の名前も詳しく分からない。
ただ昔飼っていた愛犬ペロのように、
可愛らしい目をしていたことだけは確かだ。
屈腱炎か骨折か何かで競走生命を絶たれたことは事実。
血統背景や実績からも種牡馬になれるはずもなく、
馬と一緒に引き取り手を探して歩き回っていた。
自分で引き取れればよいが、そんな経済的余裕も環境もない。
その馬に乗って(ここでは重量はムシ)トレセンまで駆けてみた。すばらしく速かった。
騎手が「なんだその馬、故障と聞いていたけど走れるじゃないか」と声をかけた。
これでも引退しなくてはならないのか。
再起をかける時間を費やせないものなのかと。
ここで国会議員の麻生氏(現総理の設定でない)がやってきた。
なぜか著書の編集が縁で知り合いという設定になっていた。
その麻生氏に「引き取り手がいないんですよ」というと、
「じゃあ僕が飼ってあげるよ」といい、なぜか愛馬と一緒に麻生氏のクルマに乗り込んだ。
馬運車ではない。普通のマイカーの後部席。
夢の中の設定では馬も状況に応じて小さくなってしまうのだ。
「もう大丈夫だよ」とつぶらな瞳をした愛馬に話しかけていた。
ところが途中まで来て休憩していると、
元の馬主が来て、「乗馬クラブの受け入れ先が決まった」といって
愛馬を引き取っていった。しかし、陰で馬主とスタッフの会話を聞いてしまう。
「処分するのに、あんなウソついていいんですか」
「いいんだよ。ファンの夢を壊さないようにするには」
馬主を責めることもできまい。自分では感情だけで救えないことを悟っていた。
どんなけ救いたいと思っても救えない馬のほうが圧倒的に多いことを。
それを知らない友人が「助かってよかったね」といったが、
「いいや、こうなることは分かっていたさ」と軽くつぶやき、愛馬との別れを見送った。


この話はフィクションであり、実際の人物とは関係の無いものです。


≪追伸≫
命のビザ発行で6000人以上のユダヤ人を救った元外交官杉原千畝の妻幸子(ゆきこ)さん死去。
昔、2002年に杉原千畝記念館を取材した際に、肖像の掲載許可でお電話いただいたことがあります。
電話口でおやさしく掲載許可を承諾してくれたのも今は昔の話。
ほんの数秒の会話でしたけどね。享年94。ご冥福をお祈りいたします。


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