最後の制作物『織田信長 覇道の全合戦』

shugoro2015-06-04

5月19日の「コレデオシマイ」とは、本題のMOOK校了のことでした。
すでに先週末の5月30日には見本誌が届けられていたのですが、
この日はダービー前夜祭の不在で受け取れず、31日の日曜も出かけていたため
手元に届いたのは6月1日。信長の命日である6月2日の
本能寺の変(旧暦ですが)に上梓のはこびとなりました。
この本の構想はすでに2013年末頃からあり、本当はもっと早く出したかったのですが、
ずっと足止めされていたのは、その前から5年がかりの長期戦になった
最初で最後の著『三国志武将事典』(新紀元社)があったからです。
以前のように社員を抱えているわけでもなく、編集から執筆まですべて独りでやらなくてはならないため、
さすがに同時に2冊並行して進行することはできません。
版元もそのあたりの事情は察してくれ、とにかく先に三国志を終わらせねばならなかったのですが、
どうでもよい鉄道本の出張校正によって何度も中断させられたため、
2014年12月7日になってようやく『三国志武将事典』を刊行にこぎつけました。
そのあとすぐに取り掛からねばならず、構成案などを再度まとめていったのですが、
2015年に入って新たな問題が発生しました。それは2月までこの原稿料の入金がなく、
すでに郡上八幡の民家購入で貯金を使い果たしていたので
家賃すら払えなくなる事態に陥ってしまったのです。
おかげで即金となる日雇いのバイトをやらざるを得なくなり、
1月中旬〜2月いっぱいは週末の土日を中心に夜勤で働いてました。
夜勤にしたのは昼間の低時給より深夜手当の割増がつくからで、
そのために作業が遅延してしまうのは申し訳ないとはいえ
生活のためには致し方ない部分もありました。
実質、二束の草鞋状態ですが、夜勤明けはもう身体が使い物になりません。
この本をいざ編集・執筆に専念するとなると、やはり正味2カ月はかかると目算していましたので
この2カ月分の籠城費用も貯えておかねばなりません。
原稿料の入金があっても、すぐに夜勤を中断できなかったのは、この理由からだったのです。
3月に入って前半の3日のみ青春18北陸本線葬式鉄をしましたが、
あとはひたすら引き籠もりの籠城戦が続き、3〜4月は電車で出たのも数回程度でした。
GWをはさんだため、発売日も若干延びてしまいましたが、こうしてできあがったのが下記の本です。

織田信長 覇道の全合戦』(廣済堂出版
160ページB5判/1728円 購入はこちら


信長14歳の初陣「吉良大浜の戦い」から「本能寺の変」まで全90合戦すべてを
図版や対戦相手・兵力・戦いの目的・戦種のデータで詳解。
さらに「桶狭間の戦い」「長篠の戦い」をはじめ半数以上の合戦を
CGイラストでビジュアル化しリアルに再現しました。
というのは簡単な内容紹介ですが、余計な突っ込みが入る前に
こちらから突っ込み(言い訳)しておきます。
この件に関しては解釈の相違もあるので、いっさい揚げ足とりの反論は受け付けないのであしからず。
まずこの全合戦ですが、初期は信長が直接指揮を取っているものの
後半になればなるほど、配下武将の戦いが多くなっていきます。
ただ、この配下武将の戦いまですべて網羅仕切れていません。
ページやイラストの都合もあるからです。
これがレイアウトにはめた本の限界と云わざるを得ないでしょう。
また、兵力などは太田牛一著『信長公記』を基本としているものの、
この『信長公記』以外の戦いも多く、史料によって相違もあるのですが、
出典をすべて明記できず、通説に頼っています。
つまり専門的な事典ではなく、簡単に解説した教科書レベルと云ったほうがいいでしょう。
ただし、この全合戦すべてに図版を入れており、これは大変苦労しました。
執筆だけなら郡上八幡葵の城で専念したほうが能率は上がったでしょう。
しかし、この図版作成・指定はコピー機がないとできず、
さすがにコピー機まで、まだ郡上八幡に移動できなかったため
東京で作業を続けるしかなかったのです。
執筆部分も総論以外はこちらで書いていますが、
外注を減らしたのはやはり予算と生産効率を追究せざるを得なかった事情もあります。
僕のこれまでやってきた効率のよい編集手法として先割があります。
まずタイトル回りと図版や写真・イラストのアタリをとって
先にデザイナーに文字数を出してもらいます。
こうすればまず書ける文字数が決まります。多少の変動もこれで調整できるわけです。
どのみち文字数が限られれば、その範囲内でしか解説できません。
つまり江戸幕府といった用語を100字にまとめたり、200字でまとめたりするわけで、
これだと蛇足というか面白い逸話などはほとんど排除されてしまいます。
そのため『三国志』の著書・陳寿のように簡潔な文章で
要点だけをまとめたつまらない内容になってしまうのです。
村野鎮守ペンネームはそこに由来していますが、逆に長文が苦手だったりします。
まったく書けないというわけではないですが。
この先割はNHK大河ドラマシリーズや鉄道のMOOKで早い時期から確立しており、
やはり偉大なデザイナーU氏なくしてできなかったと思います。
また、この淡々とした文章を書くためには、
このぼろぐで書くという習慣をつけてきたのが役立っています。
もちろん商業誌とぼろぐではまったくフィールドが違いますが、
もしこの習慣をつけていなければ、もっと遅筆になったことは云うまでもないでしょう。
限られた文字数でそれを本文と図版解説、結論などで書き分けたのが本書です。
こういった本が制作できたのは、通称「赤本」と呼ばれる歴史群像シリーズを
刊行してきたG社で培った経験が活かされていると云えます。

信長はじめ戦国シリーズは、これまでいろいろ制作してきましたが、
このきっかけといえば学生時代にのめり込んだゲームの信長の野望に端を発しており、
三国志』の執筆もそこから派生したものです。
ただし、ゲームは複雑化するにつれてやらなくなっていき、
信長の戦国シリーズで一番のめり込んだのは、
ファミコン信長の野望 戦国群雄伝でした。古すぎますね〜。
また本日の打ち合わせでは、こんなギャグが流行っていることを知りました。

とりあえず最後の大仕事ともいえるMOOKの制作は終わりました。
校了までは何度も目を通して誤植を減らしたつもりですが
こういう業界ではさすがに本ができ上がったあとは読む気にはなれません。
長くなってしまったので、いったんここで終了し、重大発表は明日にしたいと思います(鎮守)


本日の木之前葵ちゃん
4Rセイブルーム7着(5番人気)
7Rコーリンマレガー4着(4番人気)
10Rラヴァリーオステル8着ブービー(6番人気)
11Rブライテン2着(1番人気)


本日も昼から夜まで打ち合わせがあったため、
イムリー観戦はできませんでした。
11Rは単勝1.5倍の1番人気だっただけに複勝買うのを見送ってしまい、
2分の1馬身差の2着敗退で、ひとつも的中しませんでした。
距離が1ハロン延びていたとはいえ、ここの取りこぼしは痛い。
明日はすでに最終日で今週はこの時点で未勝利ですが、明日の勝利に期待しましょう!


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