タコ部屋からの解放

いよいよ荷物運びの日でしたが、数日東京を離れてしまうので
110ページ分の初校戻し原稿を『ココス』で午前3時まで作成し、
事務所に戻って修正を入れていたら明け方。
眠ることもできず荷物運びをせねばなりませんでした。
誤解している方もいますが、今回の荷物運びは郡上プロジェクトの第1弾であって
まだ東京の事務所を引き払って引越しをしたわけではありません
引越しと書くと誤解を招くので荷物運びとしておきます。
今回のこの荷物運びをした経緯を述べると
発端はやはり2011年7月27日の上落合強制退去にあります。
以前の事務所は2006年9月に移転した上落合3丁目にあり、
これが始めて事務所と自宅を分けて2棟借りる始まりとなったわけですが、
翌年7月には事務所の隣も空室となり、しかもユニットバスを新設してくれたので
自宅も同じアパートに移転します。このときに家賃は2つ合わせて12万。
家賃水準がかなり高いのですが、やはり仕事の効率を考えると
仕事場と棲家が分けられているほうが便利なわけです。通勤時間は0秒ですし。
まぁ、その頃はまだ好景気で売上げも順調に伸ばしていましたから、
部屋2つでも維持可能だったわけです。
だが、こんな順調だったのもわすが3年ほどでした。
大家さんの急死に伴い、オーナーが変わったことで耐震を理由に
立ち退きをほのめかされてしまい、結局は2011年7月に現在地に強制退去となるわけです。
しかし、移転補償は出たものの、この場所は不動産屋が指定してきたもので
僕が望んだ場所でありませんでした。
青春18で中央線の始発が利用できる観点から
最終的には中野に引越ししたいと思っていましたが、
この上高田は落合と中野の中間にあって駅まで徒歩15分かかるという何とも不便な場所なのです。
しかもこのときも部屋を2つ借りることになりましたから家賃は合わせて15万。
さらに3万も上がって負担増になることは分かっていましたが、
このときの移転もある意味、一時的なものと考え、負担を最小限に抑えたかったからです。
でも出版を取り巻く情勢は日増しに悪化し売上げもダウン。
一番の要因は大河ドラマ関連を含むMOOK系の制作物が減ったのと
アダルト系男性誌での連載がなくなったことです。
アダルト系といってもそちらの記事ではなく
当時は読み物で歴史物の連載が結構あったからです。
2つの部屋はそれなりに快適ではあったものの、やはり家賃負担がきつく
部屋をひとつに統合すればタコ部屋になってしまうことは明らかでした。
今回の郡上八幡への移住計画はずっと昔から考えていたことですが、
実際に郡上八幡の古民家を買おうと思い立ったのは2012年9月のことです。
毎年郡上を訪れ「ふるさと郡上会」のチラシを見つけたのがきっかけですが、
その前年の暮れに打ち合わせのため秋田内陸縦貫鉄道に初めて乗車した際に、
秋田内陸縦貫鉄道の存続と活性化のため現地へ移住したO氏に触発されたこともあります。
最初に考えたことは部屋がひとつに統合される前に
郡上の古民家を購入してそこへ運んでしまおうというものでした。
しかし、そう易々と希望の予算で古民家が見つかるわけもなく、
売上げの激減もあって2012年3月末についに部屋をひとつに統合せざるを得なくなりました。
引越し自体はK関氏に手伝ってもらい半日足らずで終ったものの、
ここから想像を絶するタコ部屋生活が始まるわけです。
運んだ段ボールを荷解きするスペースはなく、本棚ももちろんすべて入りません。
寝室は段ボールと本棚に囲まれ、大きな地震でもあれば生命の危険もありました。
実際に僕が不在時に蒲団に本棚の鉄板が倒れていたこともあります。
以前にも荷物が入り切らず、貸倉庫のお世話になったこともありましたが
貸倉庫もそれなりの負担がかかり、本当に東京での暮らしは
いかに空間を確保できるかにかかっています。
もう、すでにこの時点で東京に家を買うことができなかったことで
東京で生涯暮らしていくことは無理とわかっていました。
その後、今回購入することになった古民家もやはりすぐに話がまとまったわけでなく、
紆余曲折を経て、ようやく決まった時には
地獄のタコ部屋生活も1年半過ぎていたわけです。
もうそれは見積もりに来た業者の方が仰天するほどで、
ひとり歩くだけでも困難なほど荷物に埋もれていたのです。
もちろん前日から荷造りなどできる空間がありませんから
本日は午前9時に女性スタッフにきてもらい、それでも大変ということで
もう一人ヘルパーを追加。それでも全部の荷造りは無理なので
あとはトラックに積みつつ追加の荷造りをした次第。
持っていくもの、置いていくものも細かく選別できぬまま
とにかくできるだけたくさんの荷物を郡上に運ぶことにしましたが、
終わってみれば部屋も脚の踏み場がないほどバケツをひっくり返した状態でした。
本日はさすがに家に料理をする気になれず、食事は弁当となったばかりか
睡眠不足のためいったん仮眠をとってから整頓を進め、
ようやく脚の踏み場ぐらいは確保できました。
荷物が郡上八幡へ到着するのは明日。
青春182冊目1回分を使って中央線始発で郡上八幡へ向かいます。
運び屋として運びそびれた一部の荷物もリュックに入れ大荷物ですが、それも往路だけのこと。
明日はいよいよ郡上八幡葵の城が仮オープンです(つづく)


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